仲人夫人は、その請書を受け取って、いったん、立ちあがり、一?二歩、あとずさってから回り右をし、男性本人の前にすわって、その請書を渡します。
ついで、仲人夫人が立って、床の間にすすみ、女性側の結納品を捧げ持って、男性側本人の前にすすみ、前と同様の手順で、男牲本人から請書をもらい、それを女性本人にとりついで、もとの席にもどります。
そこで、仲人が、「これで、お二方のご婚約はめでたく成立いたしました。
お二方をはじめ、ご両家の幾久しいご多幸をお祈り申しあげます」 と、挨拶。
ついで、男女双方の本人、または親から、仲人夫妻に謝辞を述べて、儀式を終わり、このあと、一同、別室で、あるいはその席で茶菓などで歓談するわけです。
三上靖史
仲人宅での結納交換は、だいたい、次のような順序と作法でおこなわれます。
当日は、定刻より二十分程度早めに、男性側が本人に両親が付添って、仲人宅に到着するようにします。
控えの間に通されたら、本人または親が、仲人に、
「このたびの縁談につきましては、ひとかたならぬお世話になりまして、まことにありがとうございます。
本日は、お言葉にあまえ、結納品を持参いたしました。
どうか先様へお納めくださいますよう、よろしくお願いいたします」と挨拶して、結納品と親族書をさし出します。
これに対して、仲人は、「本日は、お日柄もよろしくまことにおめでとうございます。
わざわざお運びいただいて恐縮でございますが、ここで、お役目を勤めさせていただきます」と挨拶をかえします。
三上靖史
お見合いは、最初から本格的なのもあるが、三回くらいにわたって、演出されることも少なくありません。
第一回目は牛見ではないが、東京なら銀座あたりで偶然のように出会わさせ、男性側と女性側を引きあわせます。
あとで双方の意向をきいて、こんどは正式のお見合いとするのですが、一回目、二回目は、共にほとんどお茶くらいで、同席する入数もそう多くせず、ふつうは食事をすることもありません。
食事をするとすれば、三回目のときで、このときの見合いは、取りきめの見合いといって、男性がわは両親、きょうだい、仲人夫妻、女性がわも両親など大勢そろってホテル、料亭などへ行って、食事をともにして取りきめをするのです。
お見合いはたいていこの三回まででおわり、もしそれでも決まらないようならば、とくべつの事情でもないかぎり、その縁談は見送りということになりましょう。
三上靖史
五歳の男の子に、七歳と三歳の女の子が、十一月十五日、華美をきそい、趣向をこらし、お父さん、お母さんにつれられて、氏神さまや、名ある神社に参り、千歳飴をぶらさげる七五三は、関東地方のいちじるしい慣行でしたが、いまでは全国的傾向となっています。
したがって、それ自体の歴史は、そう古いとはいえません。
しかし、その基礎となっている伝承的習俗には、かなりのものがあるようで、かつては男子の五歳の祝いを"袴着"、女子七歳の祝いを"帯結び"、また、三歳ないし四歳の祝いを"紐取り"といったものです。
が、これを、七、五、三というふうに、奇数でかぞえ、ならべるようになったのは、まったく新しい考えというほかはありません。
すなわち、これは出産後、三夜(三つ目)、五夜、七夜に行なわれる産養の祝いの奇数を、逆に整序したものなのです。
三上靖史
新婚旅行だから精いっぱいおしゃれする、という気負いからまず解放されることが肝心です。
さすがにひと昔前のように、薄い色のスーツかワンピースに帽子の新婦、ダーク・カラーの背広姿の新郎の組み合わせという、ひと目見て"新婚さん"とわかるカップルは、最近あまり見かけなくなりました。
しかしまだ、いかにもおしゃれをしましたという感じの女性(男性は相変わらずの背広姿のワン・パターン。何とか変化をつけられないものでしょうか)がけっこういて、旅行に必要な軽快さとは逆に、重い印象を周囲にふりまいていることがあるようです。
新婚旅行は、さりげない装いで、さりげなく出かけるように心がけたいものです。
着くずれや、多少のしわなど気にならない軽快な服装が旅行着としてはいいわけです。
かちっとしたデザインのスーツやワンピースは、着くずれやしわをほっておくとだらしない印象を与えます。
旅先でアイロンかけの心配などしたくないですから、生地もデザインもカジュアルなものを選ぶのが無難です。
男性のスーツも同じことがいえます。
普段のビジネス・スーツではズボンの折り目の乱れやしわが気になります。
プレスの心配のないズボンに、カジュアルなブレザーのほうが、持って行く着替えとの組み合わせで応用がきいて便利です。
旅行着としての軽快さと機能性を第一に考えて、旅行の服装プランをねり、用意する着替えも、幾通りにも組み合わせができ、しわにならず、かさばらないものを選びます。
靴も女性の場合はハイヒールを避け、歩きやすく、はき慣れた靴にします。
ただし、旅先でのドレス・アップした夜の食事のために、すてきなドレスと、それに合うハイヒールを荷物の中に加えておきましょう。
また、ふたりの装いのバランスもたいせつです。
お互いにちぐはぐにならないように、ふたりで旅行の服装プランを相談してからきめるのがいいでしょう。
三上靖史
生まれた子供が、初めて産土神にお参りするのが宮参りです。
男児は三十二日目、女児は三十三日目とする地方が多いようですが、地方によって異なります。
現在では日取りにはあまりこだわることもないでしょう。
お参りするのは、氏神様が一般的ですが、クリスチャンなら教会、仏教徒ならお寺に行ってもかまいません。
子供の健やかな成長を願う行事ですから、親の日常の生活に合わせて行なうのがもっともふさわしいといえます。
古いしきたりでは、赤ちゃんに無地一つ身の着物を着せ、夫の母親が抱いてお参りします。
男児は熨斗目、女児は友禅の祝い着で被うのが正式です。
しかし、一日だけの着物にたくさんのお金を使うのは考え直してもよいでしょう。
親の実家に負担をかけるような習慣はできればあらためたいものです。
お気に入りのベビードレスでも着せて、お参りする方が、子供にとってもよほど幸せではないでしょうか。
三上靖史