結納式の服装と花婿方(三上靖史)

結納の取り交わしは、吉日を選ぶことが、昔はやかましくいわれましたが、今日では必ずしもこれにこだわらず、日曜とか祭日とか、双方の都合のよい日にも行なわれます。

いずれにしてもおめでたい行事ですから午前中がよく、午后になっても早くすませるのが常識で、ふつうは仲人さんにお願いし、正式には双方別個に仲人を立てるのですが、これも近来はほとんどが一人のかたに両家からお願いし、兼務していただくようです。

当日、仲人が婿方に到着しますと、服装を改めて待っていた家のものは、正座に案内して昆布茶または桜湯(桜の花の塩漬けを湯に入れたもの)を供し、きょうはお日柄もよろしく、まことにおめでとうございます、と挨拶されたら、父親または婿自身が立って、床の間に飾ってある結納を、献上台ごと仲人の前にすえ、今日は結納贈りのお役目まことにご苦労に存じます、と礼をします。

三上靖史